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高齢になってもよりよく年齢を重ね、その人らしく快活に生活できる。そのためには身体の健康だけでなく、脳の健康も重要になります。脳の健康を身近な「食習慣」から考えていただきたい。「食から認知機能について考える会」はそうした想いから設立されました。
高齢社会に伴って社会的に問題となっている認知症は、未だ根本的な治療法がないことに加え、国内外の製薬メーカによる認知症治療薬の撤退や研究開発、臨床試験の打ち切りが続く中において、日常的な食や機能性食品成分による認知症発症の遅延等、食に対する社会の期待が高まっています。また、ヘルスケア領域におけるテクノロジーの進化などにより、一般国民のヘルスリテラシーも進化しており、従来以上に効能効果に対してより高いレベルでのエビデンスが求められています。しかしながら、「脳機能の改善」等を謳う機能性表示食品、サプリメントの多くは、エビデンスが十分でない状況で市販されているのが現状です。さらに、科学的なエビデンスがない不正確な情報も蔓延しており、一般国民に誤解を与えかねない状況にあります。このような状況の中、食や生活習慣から脳の認知機能低下の抑制・予防に繋がる最新の科学的エビデンスがある情報を一般国民へわかりやすく発信することを目的に「食から認知機能を考える会」を設立しました。
2020年5月
・認知機能改善に関する食品成分の適正情報の発信
・認知症予防の普及啓発
大内 尉義 (国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 前院長・顧問)
鳥羽 研二 (地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 理事長)
浦上 克哉 (鳥取大学医学部保健学科生体制御学 教授)
堀江 重郎 (順天堂大学医学部泌尿器外科学 教授)
大内 尉義 (国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 前院長・顧問)
認知症は、早期診断、早期治療を行うということが非常に重要だが、根本治療薬がない状況で、日常的な食や機能性食品成分による認知症発症の遅延等、食に対する社会の期待が高まっている。
欧米諸国では、食事や食品成分を活用した認知症の予防や進行防止に関する研究が幅広く展開され、エビデンスの構築が進んでいるが、日本では、科学的エビデンスがない不正確な情報も蔓延しており、一般国民に誤解を与えかねない状況にある。このような状況の中、食や生活習慣から脳の認知機能低下の抑制・予防に繋がる最新の科学的エビデンスのある情報を一般国民に向けてわかりやすく発信することが必要である。
こうした食や生活習慣からのアプローチを通じて、認知症予防の啓発はもとより、フレイル、サルコペニアなどの予防啓発にも繋げて行きたいと考えている。
鳥羽 研二 (地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 理事長)
2015年WHO(世界保健機構)の保健大臣級会合では、認知症は少なくとも部分的には予防可能であり、Good for Heart, Good for
Brainという合い言葉で、危険因子の関与を紹介し、2019年の本邦の認知症施策推進大綱の予防の考えにも生かされている。
「食を準備し、楽しく食べること」は多様な生活機能や社会生活が関与している。
「食から認知機能について考える会」はそのような、深みを持った概念に対し、エビデンス創出の一助となることを願って発足した意義深い試みと捉えている。
浦上 克哉 (鳥取大学医学部保健学科生体制御学 教授)
日本では、2025年には認知症の患者数が700万人になると言われており、治療薬の開発、法整備等様々な対策がおこなわれているが、発症を予防をすることも非常に重要である。
私は日本認知症予防学会を2011年に設立し、9年目を迎えるが、設立当初は認知症予防の概念も理解されておらずエビデンスもほとんどないという状況であった。そこで、我々は、認知症予防の普及啓発とエビデンス創出、それに基づいた実践活動に取り組んできた。
海外では、FINGER Study等で示されているように、予防の中で食事が非常に重要な要素を占める。
この会の活動を通じて、認知機能と食事に関するエビデンスが創出されること、多くの方にエビデンスに基づいた正しい情報が普及啓発されることを期待したい。
堀江 重郎 (順天堂大学医学部泌尿器外科学 教授)
「人生100年時代」を見据え、高齢となっても新たなチャレンジに取り組むような方も増えている。この時代、どのような年齢でも健康で社会に貢献できることが求められていると思う。
加齢により、認知機能の低下や筋力の衰えなど、日常生活に影響及ぼす変化が現れる。こうした現象は避けられないことと諦められがちだが、近年の「抗加齢学」の進歩により、その原因が科学的に明らかにされ、原因がわかるということは対策・予防ができる、と考えられるようになった。
この「食から認知機能について考える会」は、加齢に伴う悩み事「認知機能の低下」を、日常の食習慣から改善する取り組みを推進する。そこにはエビデンスに裏付けられたサイエンスがある。ぜひ、我々の情報を参考に、よりよく年齢を重ねていただきたいと思う。